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#星野源ください

夢の中へ連れていく

ドライブ願望・下

 

【ドライブって、源さん免許持ってなかったよね?】

 

安心したまえ。ただ楽しみにしておけ。

そう返信して、その日は仕事に戻ってあっという間に火曜日はやってくる。

 

待ち合わせたのは、まだ日も落ちていない夕方。不思議そうな顔をした彼女を連れてタクシーに乗って、ドライブじゃないのかとさらに不思議そうな顔をする彼女を横目に、俺はとてもワクワクしていた。

 

ドライブと言っていいのかはわからないが、それでもとりあえずいいデートができそうだからいいじゃないか。目指すは横浜。今回は星野源、芸能人パワーを少し使いました。てへ。

 

「源さん、これ」

いいでしょう。ふ、俺も初めてなんだわ。

「すごい! ドライブかどうかはわかんないけど!」

そこはあんまり突っ込まないで!

「すごい、貸し切りだ・・・!」

 

目の前に広がるのは運河、そして京浜工業地帯の工場夜景。

ドライブがしたいが運転はできない俺はいっそ車じゃなくてもいいんじゃないかという発送に至り、その結果が船での遊覧です。

 

日も落ちて、冷たい風が頬を撫でていく。俺よりも少し前にいる彼女の髪が揺れる。きらきらとした夜景を吸収するその瞳に釘付けにならずにはいられないんですよ、お嬢さん。

 

寒いから、と言って後ろから抱きすくめる。

 

「日本じゃないみたいだね、源さん」

そうだねぇ。すごい、綺麗。

 

お前が、と言って笑えば君も照れたようにばかじゃなの、と笑う。

 

ここは船の上。人目を気にすることもない。船の運転手さんは口止めしてあるし、こちらを見ている訳でもない。

 

二人で夢の中にいるみたいに、静かに。夜景と君の温度だけを感じながら。

 

 

 

 

 

「楽しかったでしょ」

 

船から降りて、運転手さんにお礼を言って、帰りのタクシーで手を重ねながら彼が聞いてくる。

もちろん楽しかったけど、なにより二人でいられたし。でも源さんの目が子供みたいに輝いてたから、あたしより楽しんだんじゃないかな。

 

楽しかった! でもドライブとか言って源さんが来たかっただけでしょ。

「あら。まあドライブにはならなかったですかねえ」

 

「俺が楽しかったのはさ」

 

いつものように口角を上げて可愛い笑顔でこっちを見て、そんなセリフ言わないでよ。惚れ直すじゃない。

 

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