#星野源ください

夢の中へ連れていく

嘘の日

 

四月一日。この四文字、わたぬきって読むこともできるんですよ。知ってた? 俺はこの間まで知らなかったです。

そんなことはどうでもよくて、今日は大人になってもわくわくしてしまうエイプリルフールだ。

 

子供の頃、それこそ嘘をつくよりも嘘をつかれて見事に騙され笑われる方が多かったが、それは中学生の頃までだった。高校生になると彼女にタチの悪い、いわゆる恋人同士がやるテンプレートのような「もう好きじゃなくなったから別れよう」なんて嘘をついて号泣されたことがある。あれ以来、その類の嘘はつけなくなった。

 

だが今、彼女から届いたメッセージがまさにそれなのである。

 

別れよう

 

その四文字のみが送られてきているせいで嘘なのか本当なのか曖昧なところだ。もしこれが本当だとして、「どうせエイプリルフールなんだろ♡」と送ってしまえばその後の「は? 何言ってんの?」という返しに凍りつくだけである。

 

さあ、どうする星野。彼女とは良好な関係だったはずだ。仕事が忙しいとはいえ、最後に会ったのは一昨日で、しかもその日は泊まって濃厚な夜を過ごしたじゃないか。ていうかまず別れたくない。

 

あ、これがあの時号泣したあの子の気持ちか。

 

なるほど、確かにタチが悪い。しかも文面というのもそれを増大させている。

 

画面をじっと見つめながらモヤモヤしていると、しびれを切らしたのか彼女から電話がかかってきた。

 

「もしもし源さん?」

「俺まだ別れたくないんだけどおお!」

 

勢いで情けない声が出てしまった。

 

「エイプリルフールに決まってるでしょ」

 

なんだ、やっぱりそうだったのか。寝る前のこんな夜中に本当に心臓に悪い。

変に考え込んでしまったのが悔しいので、今度のデートの日には恥ずかしいほど俺が好きだと言わせてやる、そうしよう。覚えてろよ!

 

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